カテゴリ
以前の記事
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
12日、ロガナータン・スリランカ政府和平事務局次長(右)がコロンボで銃撃を受け、後に死亡した。反LTTE系政党での活動を経て、コロンボのシンクタンク等で和平を支持する文筆活動等に従事していた後、今年3月よりこの職で国会での民主的枠組みに着手したところだった。タミルの重要な文民の有識者であった。いつもの通り、LTTEの犯行を疑う者が多いが逮捕者が出たとの報道はない(LTTEは80年代初めより、対立するタミル系政党の指導者をことごとく抹殺。LTTEは自分達がタミル人の唯一の代表者と主張し、有能なタミル人が「民主的」解決に具体的に動くのを嫌う)。
この悲報は政府和平関係幹部が暗殺されるという、今後の和平実現を曇らす不安材料である。それ以上に、私個人、衝撃を受けている。私はスリランカ時代、彼と仕事の会合でしばしば顔を合わせたり、取材していた知り合いだったから、スリランカの知人を又一人失った悲しみと恐怖を感じている。穏やかな物腰で、端的に和平への想いとタミルの福利の確立を語る人物が失われた。余談だが、先鋭的な政治活動に従事した経験のある人特有の雰囲気(物静かだが警戒心が強く、目つきは強く血走り、姿と存在感を一瞬に消す独特の身のこなし)も持っていた。 スリランカは今日現在、公式には当事者の政府とLTTEが停戦の遵守を明言している。だが、現状は、数々の殺傷事件やそれらへの報復行為が日常化しており、停戦状態にあるとはいえない。戦線は北・東部の局地ではあるが、明らかに点と点から線に拡大している。他方、大多数の市民は通常通りの日常生活を続けているとは思う。が、やはり私がいた頃と比べて悪化したと思う根拠は、停戦監視団が実効力をほぼ失ったことと、政府軍による北・東部のLTTE支配地域への空爆。色々論評する代わりに(私が接するメディアのバイアスもあるし)、一週間さかのぼって、主な政治・治安記事見出しを抜粋しておく。 14日:北部ムライティブでの空爆で、43人の女子児童を含む50人が死亡(左)。LTTEは政府による児童施設への攻撃と非難。数時間後、コロンボでモハマド・パキスタン高等弁務官を乗せた車列が通行中、3輪タクシーが爆発し、軍の警護官4人を含む7人が死亡。 13日:政府軍、LTTEによる北部ジャフナ市南沖攻撃に約20分間反撃し、LTTEを撤退させたと声明。タミル・ネット、少なくとも15人が死亡と報道。 12日:政府とLTTE、東部トリンコマリー港で交戦(右:政府空軍機による海上爆撃)。EU、日、ノルウェー、米が脅威的活動の即時停止と和平交渉の再開を要請。 11日:政府軍、ジャフナ市内での無期限の外出禁止令を発令。 8日:LTTE,東部トリンコマリーのムトゥール(ムスリム住民が多住地域。民族問題の着火点といわれてきた)の閉鎖されていた水門を回復。ノルウェー政府和平特使が、3日間の北部訪問について、スリランカ政府に報告。 6日:政府軍、ムトゥール近郊の水門がLTTEにより閉鎖され、付近の約5万人の住民に影響したとして、その回復に向けた「分水」軍事作戦を続行。 5日:東部ムトゥールで仏系人道援助NGO(Action Contre la Faim)の現地職員15人が射殺される。
by bohemianism
| 2006-08-15 01:29
| スリランカ Sri Lanka
|
ファン申請 |
||