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アフリカでの製薬会社の非倫理的な治験と、その弊害の告発を試みた英国人女性と外交官である夫の悲劇を描いた政治・人間劇。途上国を舞台に、政府や企業の利害が交錯する中で、国連の救済事業や人権NGOの活動等が散りばめられて、その末端を短い間垣間見た自分には遠い世界のこととは思えず、登場人物への感情移入が過ぎて後半はひとり苦悶していた。
途上国から甘い汁を絞り取る先進国・企業とこれに素手で向かい、抹殺される善人という図式がかなり単純に描かれているのが気になった。それに、この部分を大きく引き伸ばして描いてるので、世界の悪が大いに跋扈して、まるで希望がないかのように思えて、きつかったのだ。たぶん真理は善・悪のせめぎあいの過程が全てだとは思うんだが。ただ、伝えたいメッセージを明確にしつつ、各シーンの画が美しく、役者も粒ぞろいなので、完成度は低くないと思う。特に、役者はジョゼフ・ファインはいわずもがな、相手役のレイチェル・ワイズ(この作品でゴールデン・グローブ助演女優賞受賞)、ビル・ナイ(ラブ・アクチュアリーでも再起をかけたロック・歌手を怪演)はじめ、目に美味しい。 原作者は、1960年前後に在ドイツ英国大使館で政務参事官を務めた後、スパイ小説家に転じたジョン・ル・カレ。特に冷戦期のスパイものが傑作らしい。冷戦が終わった今、諜報専門家の需要も変わったし、変わり続けるんだろうと思った。
by bohemianism
| 2006-01-17 19:01
| 本・画・音 Reviews
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