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「アルケミスト」で国際的作家の名を確立したパウロ・コエーリョが、ブラジル人娼婦マリアを主人公に、愛と欲望を心身ともに理解するまでの彷徨を描いた物語。
設定が少し刺激的なのに加え、主人公の少女期から成人期にかけてのモノローグのうまさにひきつけられて、読み始めると止まらない、「むさぼり読み本」。愛を求め、好奇心を原動に彷徨する足取りを一緒にたどるのはパウロの十八番でしょう。ただ、売春自体の倫理や葛藤は描かれてなく、聖母「マリア」が愛と救済のために、疲れた男を優しく癒す、というような聖人化は陳腐だし、主人公のストイックさが少し鼻についた。けれども、情欲と真実の愛は別だと信じようとする主人公が、最後は両者は二つで完成すると気づくあたりは、平凡でシンプルだけど、それだけにちょっと感動する。あと、神秘と巡礼マニアのパウロのこだわりが各所に織り込まれていて、彼のルーツは変わらんなと再認識。いずれにしても、意志の力を信じて何かをひたむきに求め、運命に委ねつつ人生を切り開き、また受け入れる重み、大切さを呼び覚ましてくれた。良書。 それにしても、主人公が働いた店のあるRue de Berneはジュネーブに実在するのかなぁ? パウロのホームページ。経歴や歴著のほか、ブラジルの弱者救済のNGOや、巡礼談、はたまたファンクラブまで網羅していて、面白いです。
by bohemianism
| 2005-02-26 18:14
| 本・画・音 Reviews
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